丹後・旬の魚20選
京都の海を代表する魚たちです
季節の移り変わりを水揚げされる水産物をとおして感じることができます



    
         
 祝い魚。色、姿、味ともに魚の王様。丹後での産卵期は5月。産卵をひかえた、色鮮やかな「桜鯛」がもっとも美味。体長5cmの子ダイを丹後の海に放流すると、3年で30~35cmほどに成長する。毎夏の数十万尾放流の甲斐あって、水揚げ量が増えてきた。
 岸辺の藻場にさよりの姿を見ると、丹後に春が来たことを知る。生後2年もすると30cm以上になって、藻に卵を産み付ける。透き通るほどの身の美しさと淡泊な味が魅力的で、春を告げる京料理によく似合う。


 丹後の浜では春をワカメの芽吹きで知る。単年性の褐藻類で、水深1~2mあたりに繁茂するが、前年秋から冬の水温が豊凶に影響し、10℃前後でもっともよく生育する。「若芽、若布、若女、若目」とも書き、ワカメは健康食で若さのシンボル。
 春の磯釣りの人気魚。舞台役者のように、目張りをした大きな目が美しい。魚ではめずらしく、秋に交尾して体内で稚魚を育て、5㎜ほどの稚魚を春先に産む。体長は約25cm。味は淡泊で、煮付けものとして喜ばれる。


 しろうお(白魚)を丹後では「いさざ」と呼ぶが、成長しても5cmほどのハゼ科の魚。春に、海から川に産卵のため上ってくる。ほっそりした体は透明で、赤い斑点が美しい。旬の頃の「いさざの踊り食い」が有名。家庭では「いさざご飯」を楽しむ。

    
         
 とびうおの初漁はきまって「宮津まつり」の前後である。浜では「かくとび」と小振りの「まるとび」にわけているが、両方を含めてとびうおを「アゴ」と呼ぶ。刺身、塩焼きlこは「かくとび」が好評。丹後の家庭料理「アゴのダンゴ汁」は旅の宿でも人気がある。


 初夏に丹後の海に回遊してくる。岸近くで、カタクチイワシなどをたっぷり食べて、脂ののったたちうおが獲れる。家庭では塩焼きにするのが一般的だが、今朝獲れたたちうおなら、薄造りにして、旬を楽しむ。




 トゲのあるさざえは荒磯育ち、トゲのないのが内海育ち。生後3、4年で成熟し、丹後では夏が産卵期。昼間は動かないが、日没後に海藻を食べ回る。殻が2cmほどの子供のさざえを大量に放流できるのが丹後の自慢で、身のやわらかい特産「丹後さざえ」を水揚げしている。

 丹後の内海で育つトリガイは大きさ、色合い、味ともに日本-。天然のプランクトンで育てた「丹後とり貝」は夏の特産品として好評。生後1年で穀の大きさが9cm、重さ150gにも成長する。和食ばかりか洋食の食材としても好適。



 北丹後のどの浜からも見える夏の夜の「漁り火」は、しろいか釣りの集魚灯の光。しろいかは生後1年で3、40cmに成長して、一生を終える。形は冬いか(やりいか)によく似ている。釣り人にも人気があり、釣ったばかりの身が透き通った刺身を楽しむ。


  
         
 イカの仲間でもっとも美味しい。梅雨時に丹後の沿岸で生まれ、秋に親イカとなって定置網にかかる。晩秋の潮風で干したあきいかの-夜干しと刺身の甘味は、歯応えとともに比類ない。




 「ぐじの一夜干し」、「ぐじの西京漬け」で有名。角張った頭が特徴で、経ケ岬から東の水深50~80mの海底に棲む。由良川沖の丹後海で獲れるトラエビを工サにぐじを釣る。これを「ボッコ釣り」といい、丹後自慢の伝統漁法。白身で、京料理には欠かせない。
 
 キス釣りで親しまれている沿岸のキスに形が似ている。大きいもので20数cmあるが、脂焼けするので小振りのおきぎすは数尾をクシにさして、素焼きで店に並ぶ。高級魚ではないが、身離れがいいので子供からお年寄りまで、家庭料理の人気もの。

 年の瀬から正月にかけて産卵期を迎える。丹後の秋のささがれいは、透き通って橙色の卵巣が美しく、脂ものって、味はかれいの仲間でもっともよい。「笹がれいの一夜干し」は乾物のなかでも一級品。乱獲されがちなので、資源を大切にしたい。


 はたはた、にぎす、ささがれいは、日本海の底魚ご三家。松葉がにと同じ底曳網で獲るが、かにより少し浅い、水深200m辺りの大陸棚に大きな群れをつくって棲む。丹後のはたはたは鮮度の良さが自慢で、身離れの良い脂ののった大物が魅力。


       
         
 冬の味覚の王様。水深230mから350mの海底に棲み、その生態は神秘的である。水揚げする力二の大きさ、漁場、漁期を適正に取り決め、資源保護に努めている。その甲斐あって、丹後の松葉ガニ資源は甦り、20数年ぶりの豊漁が続いている。

 成長にともなって呼び名が変わる出世魚。丹後では若い方から、モジャコ、ツバス、イナダ、ハマチ、マルゴ、ブリと呼ぶ。日本海を春から初夏に北上、秋から初冬に南下、これを繰り返して成長する。年の瀬に数千尾の「寒ブリ」が網にかかると、浜に大漁旗が揚がる。
 春の産卵をひかえたひらめがもっとも美味しい。産卵期が近くなると、丹後の沿岸に回遊にきて「大ひらめ、座布団ひらめ」が釣れる。生後3年で4、50cmになるが、90cmもあるひらめはすべて雌。毎年数万尾ほどのひらめ稚魚を放流している。水揚げ量も増えた。
 大きなロと姿、顔立ちが特徴的。深海に棲むが、冬には水深100mあたりにいる。松葉ガニと並んで、冬の丹後には「あんこう鍋」が欠かせない。あんこうのキモ和えは勿論のこと、ホホの身も美味しい。味はキアンコウに人気がある。

 
 丹後のカキ養殖は、品質の良さが定評で、明治の時代から続いている。エキスの「海のミルク」が増してくる11月から翌年2、3月までが食べ時。12月の「久美浜のカキ祭り」では、身がふっくらした旬の味が楽しめ、特産の加工品は珍品で有名。






 
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